c-1に進みましょう。
動詞によっては、c-1のように動名詞を目的語にするものや不定詞を目的語にするもの(c-2)、両方目的語にできるもの(c-3)、両方目的語にできるが意味が変わってしまうもの(c-4)とあります。
まずc-1の動名詞を目的語にとる動詞をみていきましょう。
最初の3つ、enjoy、stop、finishは中学校で学ぶレベルで超有名ですね。もう知っているという前提で次の単語にいきます。
50ページのc-1や10ページの目的語や補語のところで不定詞には「未来イメージ」があって、これからすることについて表現しているという話をしました。そして動名詞には「過去イメージ」があります。動名詞は、実際にやっていること、していたこと(既成事実)を表現します。
この動名詞の「過去イメージ」から、動名詞を目的語にとる動詞はネガティブな動詞が多いです。私は「ネガティブ動名詞」と呼んでいます。一つずつみていきましょう。
mind(気にする、気にかける)
Do you
mind moving this box?(この箱を動かすことを気にしますか=この箱を動かしてくれませんか)
こう聞かれたときに、動かしてもいいなら”No”と答えなければなりません。動かすことを「気にしない」からです。「気にする」というこの動詞mindはネガティブな動詞と言っていいでしょう。
次の2つ、avoid(避ける)とmiss(逃す)はネガティブな動詞ということで納得できるでしょう。
次のadmit(認める)はピンとこないかもしれません。「認める」だけではネガティブな動詞とは判断できないからです。ここで一つ例文を。
I
admitted doing a bad thing.(私は悪いことをしたと認めた)
「~をやっちゃった」と「認めた」ということであれば、admitには「~をした」という過去イメージをもつ動名詞を目的語にしないといけないと理解できると思います。
次の3つ、deny(否定する)、postpone(延期する)、give up(あきらめる)はネガティブな動詞ということは大丈夫でしょう。
最後のpractice(練習する)は、明らかにネガティブな動詞ではないですね。これは動名詞の「過去イメージ」というより、「実際にやっていること」の方がしっくりくるかもしれません。
テキストには3つ英文があります。最後にpracticeの英文なので確認してみましょう。それでは( )内に日本語訳をどうぞ。
give up、admit、practiceは、それぞれ上に訳が書いてあるので参考にしてください。smokingは「タバコを吸う」という動詞smokeの動名詞です。
一番上からいきます。
「私の兄(弟)は、タバコを吸うのをあきらめた」もちろん「私の兄(弟)はタバコを吸うのをやめた」でも良いです。そっちの方が良い日本語だし、意味が正確ですね。「あきらめる」というと「そうしたかったけど、しなかった」と聞こえますが、そうではなく「やめた」ということです。
2つ目は「彼はその窓を壊したことを認めた」です。「~をやっちゃった」と「認めた」ですね。
最後は「彼女はギターを弾くことを練習した」「ギターを弾くのを練習した」でもいいです。何となく動名詞の「~すること」という意味を生かそうとしたら若干不自然な日本語になっちゃったって感じです。
最後に(注意)を見てください。
動詞considerは、動名詞を目的語にとる動詞の中で一番やっかいな単語です。まずは英文を日本語にしてみましょうか。どうぞ。
considerは「考慮する、考える」という意味です.
「彼は新しい車を買うことを考慮した」「車の購入を考えた」でもいいです。
considerはネガティブな動詞というわけではないですね。「買うことを考慮する」ということは「買う前に検討する」ということです。「まだ買ってない」ので未来イメージの不定詞の方がしっくりくるように感じるでしょう。でも、動名詞です。これは日本語の問題なんです。日本語から考えると「新しい車を買うことを考慮した」というと「新しい車を買うことを前提にしている」ように聞こえます。しかし、実際には違います。ネイティブにこの件について質問すると「この文から車を買いたいかどうかわからない」と言うのです。つまり、車を買うかどうか全く決まっていない、完全にフラットな状態で「considered 考慮した」というわけです。
「新しい車を買うことを前提にしている」わけではない以上「(これから)買う」という不定詞の「未来イメージ」というより、「(今)買うかどうか」の検討を「実際にやっている」という動名詞の方がしっくりくると思います。