f-3の使役動詞に進みましょう。
makeやhave、letなどの「~させる」という意味の動詞のことを使役動詞と言います。
知覚動詞同様、使役動詞もそのあと、目的語がきて、そのあとに原形不定詞がきます。やっぱり目的語と原形不定詞は、〈主語+動詞の関係〉になっています。
日本語訳としては、「Oが原形不定詞させる」となりますが、それぞれの使役動詞で微妙なニュアンスが変わります。そしてこれは、受験英語でも区別が必要な場面がありますので、しっかり覚えてください。
最初は、makeです。これは(強制)です。「その人の意に反して無理やり」という意味です。そういう文脈のときは、このmakeを選択してください。
最初の例文を訳しましょう。
( )に埋めるだけです。
最初の( )は「トム」、次の( )に「修理」と入れてください。
トムにテレビの修理を強制したということです。
次の(注意)を見てください。これも知覚動詞と同じですが、使役動詞は受動態にすると原形不定詞をto不定詞に変える必要があります。その下の例文は、最初の例文を受動態にしたものです。
目的語(Tom)を主語にして、be助動詞プラス過去分詞。通常は、残りはそのままなのですが、原形不定詞はto不定詞にするので下線部がto repairになっています。
次は、haveです。これは(~してもらう)です。無理やりではありません。そういう文脈のときは、このhaveを選択してください。
例文を訳しましょう。
これも( )に埋めるだけです。
最初の( )は「トム」、次の( )に「修理」と入れてください。
次の(注意)を見てください。makeと違い、使役動詞のhaveは受動態になりません。気をつけてください。
最後は、letです。これは「許可」を表して、「(希望通りに)~させる」という意味です。その人が希望しているような文脈のときは、このletを選択してください。
例文を訳しましょう。
これも( )に埋めるだけです。
最初の( )は「私」、次の( )に「行かせ」と入れてください。
次の(注意)を見てください。makeと違い、使役動詞のletはあまり受動態になりません。実は、この受動態になるかどうかは、みなさんは気にしなくていいところです。そもそも受動態にならないなら「受動態にしなさい」という問題も出ません。だから、気にしなくていいですよ。とは言っても、みなさんが英語を誰かに教える立場になった時に生徒から質問されるかもしれません。何十年も英語を教えている私でも今までにこの件で質問されたのは1回だけですけどね。その1回のためにちゃんと覚えておくことが重要です。
次に(参考)を見てください。
知覚動詞同様、使役動詞も、目的語のあと、原形不定詞だけでなく分詞もきます。詳しくは、テキスト66ページでお話ししますが、目的語と補語に当たる次の分詞が〈主語+動詞の関係〉なら現在分詞、〈受け身の関係〉なら過去分詞になります。
となりの55ページに二つ例文がありますが、最初が現在分詞ですね。目的語と現在分詞が〈主語+動詞の関係〉です。この現在分詞はクセモノでして、数が少ないのです。だから、受験問題でも使役動詞のあとは、〈主語+動詞の関係〉なら原形不定詞、〈受け身の関係〉なら過去分詞としておかないと解けない問題も見たことがあります。
つまり、四択の選択肢に原形不定詞と現在分詞の両方あって、正解が原形不定詞という場合をよく見かけるのです。ちなみに知覚動詞の場合は、四択の選択肢に原形不定詞と現在分詞の両方あるのを見たことはありません。
じゃあ、どうすればいいのか。
使役動詞のあとは、〈主語+動詞の関係〉なら原形不定詞、〈受け身の関係〉なら過去分詞としておきましょう。(受験英語問題に対する忖度です)
ただし、今回の例文のように現在分詞もあります。どんなときか。
これは66ページの(g)で詳しく話しますが、ネイティブが現在分詞か過去分詞を選ぶときに「動いている」か「止まっている」かという見た目で判断していることがわかっています。現在分詞にある進行形っぽい「進行している感」はネイティブの感覚でもあるのです。
今回の例文の「水を流しっぱなしにしていた」というところから、水が「動いている」感じをとらえることができれば、現在分詞がきても違和感は無いような気がします。
二つ目の例文を見てください。
使役動詞で目的語のあと、過去分詞がくるときは知覚動詞と同じです。
目的語とそのあとの言葉が〈受け身の関係〉であれば、過去分詞がきます。
二番目の例文でいうと、「私のテレビ」が「修理される」のような関係です。「私のテレビ」が「修理する」わけではありませんね。「修理される」です。これが、〈受け身の関係〉です。