テキスト89ページを開いてください。比較の勉強を始めましょう。
いよいよこのテキスト最後の分野です。私がこの「比較」を最後にするにはわけがあります。
この分野が好きではないからです。だから最後にしています。
なぜ嫌いかと言うと、ひとことで言うとつまらないからです。覚えることが多くて、まぎらわしいのも多いんです。理解すれば一生覚えていられるというようなことが少なくて、教えがいが無いんです。
そもそも私は、できるだけ覚えることを少なくして、効率よく勉強してもらいたいという想いで何十年も英語を教えています。他の教科も含めて、覚えなきゃいけないことはたくさんあります。そちらに時間を割いて、サクッと受験を乗り越えてほしいんです。そのための最大の難関が「比較」です。
それでもそこらの参考書や授業よりは覚えることが少なく、ちゃんと理解できると自負しています。
さぁ、あきらめてがんばりましょうか。
最初に比較級や最上級のスペリングです。さっそくで申し訳ないですが、これは覚えるだけです。
まず左側、good(well)から下に5つです。特殊な例ですが、中学時代に学んでいると思います。比較級と最上級を埋めてみてください。
上から4つは完全にカタチが変わります。最後の一つは、普通に-er、-estをつけるだけではなくて、他もちょっと変える例です。
good(well) - better - best
bad(ill, badly) - worse - worst
many(much) - more - most
little - less - least
happy - happier - happiest
最後はyをiに変えてer、estを付けます。それ以外は完全に変わってしまうので覚えるしかないやつです。まぁ、聞きなじみのある単語なので覚えやすいかと思います。日本語としてもよく使う言葉も多いですね。
次に右半分いきましょう。上から2つは同じ単語です。3番目と4番目も同じです。これは意味によって比較級、最上級が違うので別に書いています。
残りの2つは、片方が普通に-er、-estをつけるだけで、もう片方がmore-、most-をつけるだけです。やってみましょうか。どうぞ。
farは「距離」と「程度、範囲」でカタチが変わります。lateは「時間」と「順序」で変わります。
farからみていきましょう。最初は「距離」的に「遠い」場合です。比較級では、「もっと遠い」とか「さらに遠くへ」という意味になります。farには形容詞も副詞もあるので、比較級、最上級でも両方の訳が必要です。
この場合は、far - farther - farthestと変化します。
次に「程度、範囲」的に「遠い」、つまり比較級では「さらに、その上の」とか「さらに進んで」という意味になる場合です。
この場合は、far - further - furthestと変化します。
実は、「距離」的に「遠い」場合も、further - furthestのように変化する場合もあります。いつもの「例外のない規則はない」ってやつです。ですから、私たちもいつものように対処しましょう。原則は押さえておいて、それ以外が出てきても驚かないこと。文法的に正しいものを使っておけば何の問題もありません。時と場合によって使い分けられれば、それはそれで素晴らしいことです。
lateに進みましょう。
最初は「時間」的に「遅い」場合です。比較級では「より遅い」「より遅く」となります。lateもfar同様、形容詞も副詞もあるので両方の訳が必要になりますよ。
この場合は、late - later - latestとなります。
See you later.のように使いますね。「あとで会いましょう」という意味ですから、「時間」的に「より遅く、あとで」ということです。
latestは「最新の」という意味です。「いちばん遅い」でもいいですが、例えば、my latest book「私の一番遅い本」というのは結局「私の最新の本、最新作」ということですからね。
次に「順序」的に「遅い」場合です。比較級では「よりあとの」とか「後半の」、「後者の」と訳す場合が多いです。最上級だと「最後の」という意味です。「順序」が一番遅いと「最後」になります。単語を見ればわかります。( )にはこう書いてください。
late - latter - last
lateの場合、なじみのある単語がありました。ただ比較級や最上級だと思ってなかったという単語ばかりだと思います。言われてみれば、カタチも比較級や最上級っぽいですね。
最後の2ついきましょう。片方が普通に-er、-estをつけるだけで、もう片方がmore-、most-をつけるだけでしたね。
どういう単語にmore-、most-をつけるか、教科書等にはこう書いてあります。
「2音節の単語の一部と3音節以上の単語は比較級、最上級にmore-、most-をつける」
いろいろツッコミどころがありますね。
まず音節。そんなこと気にしたことない人が大半でしょう。辞書を見ればわかります。usefulという単語を調べると、「use • ful」のように書いてあります。これは音節で区切ってくれているのです。ですからusefulは2音節ということになります。
だいたいは母音を見ればわかるのですが、当然のごとく例外もたくさんあり、それを受験生に強いるのは現実的ではありません。そもそも、「2音節の単語の一部」と言っている時点で、2音節でも-er、-estをつける場合とmore-、most-をつける場合があるということです。音節がわかったとて、正解にたどり着かない可能性も出てきます。
それに辞書を引くことができるなら、音節調べる前に比較級、最上級のスペリングを調べればいいのです。しかし、テスト中ほとんどの場合、辞書が使えません。
さらに言うと、「3音節以上の単語はmore-、most-をつける」とありますが、例外もあります。
つまり何が言いたいかというと、「こんなルール覚えても意味がない」ってことです。ルール覚えても、実際に使えない、例外もあるとなれば負担が大きいです。そんなことに時間を使わないでください。
中学校のときに、「短い単語は-er、-est、長い単語はmore-、most-をつける」と習ったかもしれません。そんな感じでいいです。どうせ例外だらけなのでね。
今回テキストに書いてある2つは逆です。例外に慣れる意味で紹介しています。長いけど-er、-estをつけるものと、短いのにmore-、most-をつけるものです。
useful - more useful - most useful
handsome - handsomer - handsomest
この2つは両方とも2音節で片方は-er、-est、もう片方がmore-、most-です。ぱっと見、長い方が-er、-estで、短い方がmore-、most-です。どうしようもないでしょ?
短いのにmore-、most-をつける単語でいうと、boredもあります。bore「退屈させる」という動詞の過去分詞が形容詞化したものです。この場合は1音節でもmore-、most-をつけるという例外もあります。どうしようもないでしょ?
嫌いな言葉ですが、頑張って「覚えて」ください。