前回の英語で平均点を突破したい高校生へ(11)では、偏差値のお話をしました。
高校生が、大学受験用の全国模試で平均点を突破することがいかに大変かというお話もしました。
中学受験を経験しているとなおさら、中学受験、高校受験、大学受験の偏差値の違いが明確になります。
所属している中学校や高校内の定期テストや実力テストでの偏差値や塾や予備校で受けるテストの偏差値など、世の中には偏差値があふれていますが、受験者の層(母集団)が違うので、一概にそのすべてを比べることができないのです。
唯一比べることができるのは、同じ学校内の定期テストや実力テストで前回と比べるときや同じ予備校が作ってる全国模試で前回の偏差値と今回の偏差値を比べるようなときだけです。
つまり受験者の層(母集団)がほぼ同じ場合のみ、前回と比べて偏差値が上がれば、今回は成績が上がったと言えることができるのです。
ですから、学校の定期テストでは偏差値が高いのに全国模試では低いと嘆いたり、中学受験の偏差値をもとに大学受験の偏差値を議論したりすることは、全く無意味なことなのです。
私が、大学受験を目指す高校生を指導するときに重要視する指標は、大学入学共通テスト(旧大学入試センター試験、以下、センター試験)の点数や偏差値です。
大学受験を希望する何十万人もの受験者のいる大規模な全国規模のテストで、過去問も合わせるとデータが豊富にあるからです。
これを基準に、現状どの位置にいるのか、目指すべき位置はどこなのかを明確にします。
この時点で、得意な分野、苦手な分野を把握したり、何をいつまでに勉強すべきかを確認してスケジュールを決めたりします。
英語の学習というのは、さまざまな要素が複雑に関係しています。
俗に言う「読む・書く・聞く・話す」の4技能は、わかりやすい例ですが、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)では、「話す」と「書く」が無いので、少し違います。
例えば、リスニングのテストについて考えてみましょう。
リスニングテストは、共通テストでの配点が100点になりました。
センター試験では筆記が200点でリスニングが50点だったので、全体に占める割合は20%でした。しかし、現在の共通テストでは、筆記100点でリスニングが100点なので、リスニングテストの割合が50%に跳ね上がったのです。
リスニングは苦手だとか捨てるとか言ってられない状況になってしまいました。
それでは、このリスニングで点が取れるようになるために何をすればいいでしょうか。
たいていの高校生は、「英語を『聞く』練習をする」と言います。
スマホに音声データをダウンロードして、何度も何度も聞くという勉強方法です。
ちなみに、一昔前だとCDを何度も何度も聞くという勉強方法でしたが、今の高校生はCDを持っていません。というのも、CDを聞く機械(CDラジカセやCDコンポ)を持っていないのです。時代を感じます。
話を戻します。
リスニングの勉強は、英語を「聞く」ことのみと考えるのは間違いです。
単語を勉強することもリスニングに役立ちます。
全く知らない単語は、発音されても聞き取れないからです。
同様に、英文法や読解の勉強をしていてもリスニング対策になります。
よく使われる慣用表現や熟語、構文などを学ぶことで、リスニングテストで聞いたときにスッと頭の中に入ってくるようになります。
アメリカやイギリスなどの英語圏の文化や習慣なども影響します。
海外の映画やドラマなども見てるだけで、文化や習慣などを勉強することもできます。
一見関係ないようなことも関わってくるのが言語です。何が役に立つのかあまり考えず幅広く、英語やそれ以外の勉強や勉強とは言えないようなことでも親しんでいくといいでしょう。